ワープロで父の歌打つ手をとめて雨にこぶしの花を見にけり
柿の実を 取らず残せば 古木なら
たんころりんに 化けるとか言う 節夫
抜粋
誕生日 雨水の頃に 山茱萸は 地味な花着く 常人の生
雛の日に 固有ベクトル 求めむと 十次行列 ひねもす捻る
見知らぬ子 黙して我に 小銭見せ 石焼き芋の 笛を追駆く
桜とは さほど綺麗な 花でなく 只一斉に 咲きて散るのみ
親子連れ スキップまじえて 通り過ぐ 溢るる光に 影絵の如く
よろけつつ 辻横切りし 人言えり 見守られしが 嬉しかりしと
世の中の すべての物を 数量化 手段と雖 確信的な
ジャムによし酸塊熟して梅雨に入る
久々の 山土の香りは 子供等が 犬と戯る 土手囲いから
猛暑との天気予報は避難され
全国で猛暑の記録更新す
イブが持つエデンの林檎プラム大
村里の家毎に 柿の照り映えし 晩秋今や失ひしもの
民主主義、文化勲章辞退すれノーベル賞は受けるとか聞く
町という 町の全てが 異なりて 我住む町が 此処にあるなり
物でなく 現象でもなき 抽象を 物と眺める 数理の世界
冷たくて 色を失い どす黒き 鉄器のごとし 雨の冬日は
早朝にふと目覚めたる其の時に遠き神戸で激震起こる
春を待つ 二月の末の 雪催い 昔の事件 想い重ねる
宗教の狂った姿オウム教、拉致監禁や毒物散布
フェルマーの 定理は 解けしとか 素数分布は 次の難問
黒子猫 坂の途中を 横切れど 子供自転車 危く避けぬ
次の世も 人でありなば 物作る 工場の技師で ありたいものと
万象に 姿を変える 妖怪を 人は嫌いて 数学と呼ぶ
妖怪の 住まう所に 人行くと 山海経は 語り聞かせる
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エンディバー初雪の日に帰還せり
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